酔っ払って帰宅すると、彼が玄関の前でうずくまっていた。
僕が近づくと感知式のライトが灯った。その光に照らされた彼は、おどろいたように大きな体をひるがえし、こちらをうかがいながらもぞもぞと動き出した。
僕もギョッとしたが、それを悟られないようになんとか平静を装い、こちらが優位だということをアピールした。
しかし膠着状態である。
とりあえず当面の問題である「家に入れない」という状況を打破すべく、彼をそこからどかさないといけない。
しかし酔っぱらった頭ではどうするのが最善か、まったく判断がつかなかった。
しかたなく、しかしそうするほかになかったかのように、もしくはそうすることが自然であるかのように、僕は彼に向かってシッシッと手を振った。
すると彼は、僕がそうなって欲しいと願ったとおり、面倒くさそうに大きな体を地面に這わせながら右へ右へと動きだしたのだ。
このチャンスを逃してはならないと、僕は鍵穴へと鍵をさし、ぐるりと回してドアを開けて家の中へ飛び込んだ。それと同時にドアを閉める。
ほっとひと息ついて部屋の電気をつけ、荷物を置いたところでハッと我にかえり、頭の中を整理した。
あれは夢だったんじゃないだろうか。
たしかに酔っ払ってはいた。
それにしても、あまりにリアルすぎたのだ。そうだ、夢なんかじゃない。
真実を確認するべく、僕はふたたび玄関へと向かった。すでに酔いもおさまっている。この状況ならさっきとは違った対応ができる自信はあった。
意を決してドアを開ける。
しかし肩すかしをくらったかのように、そこには暗い闇と秋虫の鳴き声だけが広がる、いつもの夜があった。
やはりあれは夢だったのか。いや、そんなことは…。
自問自答を繰り返しながら僕は布団に入った。
彼の正体はこちら。
たぶんマムシ
ヘビ!ヘビー!マムシー!
玄関にマムシが出たのだが、庭のほうに逃げてしまったのでまだ近くにひそんでいるかもしれない。
近々「マムシに噛まれた日」というブログにならないことをいのるばかりてある。
ちなみに今回のブログは小説風に展開してみたが、あまり小説風になっていないのでそのへんは触れないでいただきたいところである。