ふだんの生活において二択問題を問われる場面がけっこうある。
A案とB案どっちがいい?
和食と洋食どっちがいい
カーディガンとパーカーどっちがいい?
わたしとあの子どっちがいいのよ(怒)
わたしはそういった選択場面において、だいたいは「どっちでもいい」のである。ほんとうにどちらを選択しても、我が生涯に一片の悔いなしを通せる自信はある。テキトーではなく許容範囲が広いのだ。ただ、最後の「わたしとあの子~」に関しては、どっちでもいいとか言えば我が家は核の炎につつまれてしまうので細心の注意をはらわなければならないが、おかげさまでそんな場面にはいまだかつて遭遇していないので安心してほしい。
ただ、どっちでもいいと答えると「それがいちばん困る」と言われるので、A案がいいと答えると「えーでもB案も捨てがたいよねー」と言われる。「じゃあB案にしよう」と言うと「おいおまえ、ちゃんと考えているのか」と責められる。なにこのやりとり。
こまかい人は理由まで求めてくる。なぜそっちがいいのかと。なのでいちいちむりやりな後付けの説明をしてお茶をにごす。ザッツ不毛だ。
そこで考えた。
ポクポクポク…チーン!
返すべきセリフは「どっちでもいい」ではなくて「どっちもいいね」だ。
これなら適当さは消え、ポジティブシンキングな気概が伝わるだろう。
ドラクエなら、魔法使い→僧侶と経験を積んで賢者に転職したようなものである。
そしていざ選択を強いられる場面に遭遇した。
「焼き鳥と海鮮、どっちにする?」
もはや今までのオレとは違うのだ。賢者の回答をくらうがいい!
「どっちもいいね」
「うん、どっちもいいけど結局どっちがいいの?」
……オレは音をたてて砕け散った。