会社の近くに個人経営のペットショップがある。
金魚やハムスター、小鳥などの小さい生き物を専門で販売しているのだが、店頭にはおもちゃ、ぬいぐるみ、服などが展示販売されているので、一見何屋さんかわからない。
おそらく店主のおじさんが着古したと思われるセーター各種は一律100円。破格である。
それらは店が閉まった後でも外に出しっぱなしなのだ。雨の日でも。商売っ気がないにもほどがある。
ある日、その店が半額セールを打ち出した。さびた鳥カゴが1,000円だったり。
ならばあのセーターは50円になったのだろうか。
商品管理がしっかりしたチェーン店は安心できるが、個人商店のこういうざっくりしたところはなくしてはいけないだろう。いわゆる味というものか。
そんなことに思いを馳せながら日々を過ごしていたら、先日突然閉店してしまった。
シャッターに貼られた「永らくご愛顧ありがとうございました」の文字。
ひいきの店が閉店するのは言葉に言い表わせないなにかがある。心がさみしい気持ちで満たされていく。やるせない瞬間だ。
まあ「ひいきの店」と書いたが、買い物をしたことは一度もないのだけど。