本日乗船するコンツェルト号
先日、ひょんなことからクルージングのタダ券をいただいた。
ただし乗船料は無料だが、メインである飲食には金額が発生するという。いやいや、それにしてもお得だろうということで神戸港でクルーズしてきた。
関係ないけど、クルーズってトムクルーズみたいでかっこいいな。
かくして、われわれは真夏の太陽の恩恵をモロに受け、汗だくで神戸へと向かった。
とにかく船がでかい
ハロー、ポートタワー
ハロー、神戸港
ハロー、コンツェルト号
思えば船に乗るなんて何年ぶりだろう。乗るというよりこんな近距離で見るのも20年ぶりくらいだ。でかい。平屋以上大仏未満くらいのスケールだ。いや、大仏といっても奈良以上牛久未満くらいか。どちらでもいいけど、とにかくでかい。
まずこのコンツェルト号の運行スケジュールだが、1日4便出るらしい。
昼から順にランチクルーズ、ティークルーズ、トワイライトクルーズ、ナイトクルーズとなっている。
さて、どのコースにしようかと検討した結果、ランチとティークルーズは真っ昼間だし帰りもまだ暑いので却下。
ナイトクルーズは帰りが遅くなるので却下。
結果、気温や時間的にちょうどいいであろうトワイライトクルーズをチョイスした。
ちょうどいいと言いながら、真夏なのでちょうどいいもなにもないのだが。
次にメニューである。
鉄板焼き、フレンチ、ビアガーデン(夏季限定)の選択肢があったが、満場一致でビアガーデンになった。
まあ汗だくのTシャツにジーンズでフレンチというのも気がひけるだろう。
ギラギラ太陽のもと、甲板で海を見ながらビールを飲むなんて最高のシチュエーションだ。暑いのが苦手な私にとって、夏のメリットなんてビールがとくに美味いということくらいだ。あと洗濯物が一瞬で乾くことと。
16時45分出港ということで、時間通りに行かないと船が出てしまうんじゃないかという不安から、余裕をもって30分前に到着した。
これは遅刻魔の私としてはちょっとした快挙である。それくらい楽しみにしていたイベントということだ。
海の上のビアガーデン
掲げられた看板がさらにテンションをあげてくれる。よしよし、出航オーライですよー!遅れたやつは置いていけくらいのいきおいで船に乗り込む。
ビール片手に甲板へ
生演奏!
乗船するといきなりフルートの生演奏が出迎えてくれた。
ラスボスの城でフロアごとにいる中ボスみたいだなと思ったが、攻撃してしまうとクルーズを楽しむ前に強制連行されてしまうので、妄想までで止めておこう。
船内は階ごとに鉄板焼→フレンチ→ビアガーデンとなっているので、われわれビアガーデンチームはうながされるまま最上階へと進む。
正面にピアノが
最上階に着き、席に案内されたが、思いっきり室内だった。あれれ、ビアガーデンだからてっきり外かと思っていたが… まあ外は暑いので室内のほうがいいよな。しかし景色は…とか考えていたらアナウンスが。
「飲み物を持ってデッキ(甲板)にでて景色をお楽しみいただけます」
そういうことか!
いくら屋外で飲むビールが最高だといっても、この時期ずっと外だと暑くてたまらないだろう。基本屋内で飲み食いしつつ、気が向いたら外に出るシステムか。
屋外飲みがベストだと思っていたが、それはベターだった。このスタイルこそベストだろう。
着席すると、やがて料理が運ばれてきた。
インスタ映え!いや、映えてるか?
料理が運ばれてきて、写真を撮ろうとしたらスタッフの方が手を伸ばしてきた。
おいおいおまえさん、あっしのポテトフライをつまもうってぇのかい?とあわてたが、お皿の並びを変えてくれたのだ。写真に収まりやすいように。これがうわさに聞く神対応ってやつか。
写真を撮った瞬間インスタ映えだ!と思ったが、メニューや案内書きがばっちり写り込んでいるのでさっぱり映えていないという、おれのセンスが爆発した1枚になってしまった。
まもなくして船が動き出したので、とりあえずビール片手に外に出よう。
グッバイ、ポートタワー
約2時間のクルーズの始まりだ。
ポートタワーにしばしの別れを告げるも、すでにビールはほぼない。おかわりおかわり!
船に向かって手を振りたい
手を振ってくれる
港には手を振ってくれる人々。
写真はスタッフの方々と思われるが、そのほかに一般観光客も船に向かって手を振ってくれていた。当然こちらも満面の笑みで手を振り返す。
人は出港する船に手を振られずにはいられないのかもしれない。旅立つのがまったくの赤の他人だったとしてもだ。
自分が港にいても手を振るだろう。
マナーというか、無意識な反応なんだとろう。カッケの検査で足がピュイっとなったり、霊柩車を見たらサッと親指を隠すのと同じように。
欲を言えば、紙テープを投げたかった。
船の別れといえば、あの紙テープだ。
ただ今回は、港にいるのはまったく知らない人だ。
紙テープを投げるのは、幼なじみや親友との今生の別れの時である。そうそう安売りするものではない。売店にテープは売っていなかったし。
そもそも、「おら東京さ行ってもおめえらのことは忘れねえからなー。都会の絵の具に染まらねえからなー」とかいう状況なら格好がつくが、あいにく行き先は東京ではなく大阪湾をぐるっと回るだけなのだ。すまんな。
しかし、である。いくら見知らぬ人といっても港で手を振られると言葉にならない感情がこみあげた。
たとえば新幹線なら近すぎるし、飛行機なら遠すぎる。手を振るには船がちょうどいいのだ。これが本日のハイライトといっても過言ではないだろう。
なによりここの話を引っ張りすぎている。
それくらいグッときたのだ。知らん人だけど。
さあさあ、出港したからには船でのひとときを楽しまなくてはなるまい。
甲板から席に戻るとピアノ演奏が始まっていた。
ピアノの調べというやつか。
正直なにを調べているのかわからないが、酔っ払いには心地よすぎる。
目の前で生ピアノ
SMAPの夜空ノムコウの演奏がはじまった。いい感じに酔っ払っているので、ついつい歌い出しそうになるのをグッとこらえてビールを飲む。しかし頭の中では「あれからーぼくたちはーふふふふんふふふふふふふんー」となっている。
たぶんお客さん全員がそうだったことだろう。
以降もヒット曲メドレーのピアノの調べが響き渡る。このシチュエーションではクラシックの名曲よりもJ-POPだろう。最高か。もうどうにでもしてくれ。
海が広い
ふたたび外に出ると、コンチェルト号は明石大橋の手前で大きく旋回し、神戸港へ戻るところだった。ここまででおよそ1時間弱。
明石大橋だ(たぶん)
それにしても潮風に吹かれて飲むビールはやはり格別だ。多くの人が甲板で歓談していた。あ、意図せず韻を踏んだ。
yo!
ここは船の甲板
ビール片手に歓談
日が暮れていくぜだんだん
飲み過ぎ注意だ健康診断
チェキラッ!
失礼しました。
結構いてるな
船が行き交う
船…か?
水平線しか見当たらない
ふだん生活しているコンクリートジャングルとはえらい違いだ。「うーみーはー広いーなー大きーいーなー」は、まごうことなき事実だと思った。さすが歌になるだけのことはあるな、海。
大阪湾でこれなのだから、太平洋に出たらどうなってしまうのだろう。大海原に出る予定はまったくないのだが急に不安になってきた。過呼吸過呼吸!
そうやって妄想しながら、からあげを食べて外に出て、ハムを食べて外に出て、サラダを食べて外に出てを繰り返しているうちに、コンチェルト号は神戸港へ戻ってきてしまった。
あっというま、120分のランデブーだった。
都合生ビール3杯、ハイボール3杯の計6杯。20分に一杯のペースで飲んだのでそれなりに酔っ払ってしまった。
ひとりタイタニック
船=タイタニックという陳腐なイマジネーションでベッタベタなポーズも決めることができた。
千鳥足で船を降りる
こちらこそありがとう
----------
今回は偶然舞い込んだ大阪湾クルーズだったが、想像以上に船に乗るというシチュエーションに魅了された(正確には船に乗って飲むビールに、かもしれないが)。
豪華客船となれば果てしなくハードルが高いが、こういったランチクルーズ、ディナークルーズは、船に乗って食事をするという非日常な興奮をそこそこお手軽に体験できるエンターテイメントだったのだ。すごい。20年前に知っていれば、今ごろ「海の若大将」と呼ばれていたかもしれないし、呼ばれていなかったかも知れない。
どちらにせよ、掛け値なしにおすすめであることはまちがいない。
神戸コンツェルトHP
https://kobeconcerto.com/sp/